『嵐の前の静けさ』 3月のライオン 1巻の感想
3月のライオンは心を揺さぶる物語。人の感情の機微をよく表現されていると感じる。
特に第1話はセリフのないページが半分を占めている。けれども胸に響くものがある。
そういうところが3月のライオンの魅力の1つ。
将棋を題材に扱っているが、将棋は全面には出てこない。将棋部が全国大会を目指すとか棋士の人生を描いているようなバリバリの将棋マンガではない。
主人公がたまたまプロ棋士で登場人物達がそれぞれの経験を通して成長していく物語の印象が強い。
そこが人気の理由の1つだと感じる。
1巻は全体としては凪のようなイメージ。目立って大きな出来事はなく、登場人物たちがどういう人なのか、どういう関係なのかを淡々と説明している印象を受けた。土台となる登場人物を淡々と表現しているが、この後待ち受けている嵐がきても受け入れることができるような準備をしているようにもみえる。
裏表紙には次の言葉が書かれている。
主人公は、東京の下町に一人で暮らす、17歳のプロの将棋の棋士=桐山零。
しかし、彼は幼い頃、事故で家族を失い、
深い孤独を抱えた少年だった。
そんな彼の前に現れたのは、
あかり・ひなた・モモの3姉妹。
彼女たちと接するうちに零は…。
様々な人間が、何かを取り戻していく
優しい物語。
生きていれば様々な体験をする。
何かを得る体験。
何かを失う経験。
何かを受け取らないと決めた経験。
何かを受け入れて進むと決めた経験。
心にトゲが刺さったような後悔を抱えながら生きている。そういう後悔と向き合いながら成長していく。
- 作者: 羽海野チカ
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2013/12/13
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (6件) を見る
2巻はこちら